2020.07.06

【連載】なぜ僕らは働くのか#2【後編】

好きなことを仕事に。そんな言葉をよく耳にするようになった。

フリーランスや起業といった、自分独自のスタイルを追い求める若者も増えてきているように思う。実際、僕のまわりでも少しずつ「大学を卒業したら、就職するか、フリーランスで頑張るか…」と悩んでいる声も耳にするようになった。

しかし、僕もこの2年間、anone, を「仕事」と呼べるまでに本当にギリギリの生活を送ってきた。ミライジンに入るまでは、友人から借金をして食い繋いだこともあった。そうした経験があるからこそ、何の考えもなしに「好きなことを仕事にしよう」とはこれから仕事に就こうとしている人にうかつには言えない。

そんな中でも、代表の小林はよく「ワクワクすることだけを仕事にしよう」と僕たちに伝えてきた。極端なようにも聞こえるが、楽しいと自分が感じられる仕事以外はしてはいけないと言うのだ。だからこそ、ワクワクすること、自分が好きなことを仕事にするということはどういうことなのか、を聞いてみたいと思う。

◼︎プロフィール
小林宏樹(こばやし・ひろき)
代表取締役社長。大手インフラ系企業で最適化アルゴリズムを使ったサプライチェーンマネジメントモデルを開発するデータサイエンティスト、エネルギートレーディングのクオンツとして10年勤めたのちに独立。大阪大学招聘講師。 自身も発達障害特性をもつことから、現代の働き方に違和感を覚え、同じ特性を持つCTOの林と共にミライジン・ラボを創業。高度分析業務を、発達障害特性に適した工程に分解・組立ができる。 現在は社内のプロジェクト全体を統括。3歳と1歳の娘に手を焼くパパでもある。

>前編はこちらから




「生存ルート」が見つかるまで行動し続けること


中西:好きなことをするには、責任を背負う覚悟がいること…。なんとなくイメージが湧いてきました。とはいえ、覚悟を持つことってすごく難しいと思うんです。やっぱりいざ気合入れてやるぞ!と決めたとしても途中でやっぱりダメだったかな…とか、苦しくて乗り越えられそうにない壁が待ち受けているかもしれないじゃないですか。

フリーランスや独立といった、好きなことを仕事にする「ノウハウ」は世の中に溢れていると思うんですが、小林さんはその「覚悟」見つける方法は、ご自身の経験から何か思いつくことはありますか?


小林:うーん。実際、起業する前は覚悟なんてまったくなかった。「超弱気」のテンプレみたいなサラリーマンで(笑)給料は十分過ぎるほどもらってたし、仕事よりもプライベート優先だったからとにかく自分の時間がほしくて。会社に甘えまくってた。

新卒2年目の子よりもベテランの自分の方が有給を消化してたし、残業もほとんどしていなかった。とにかくいかにプライベートに影響がないかを考えていたかも。

ここぞとばかりの満面の笑み


中西:なるほど、今からじゃ考えられないですね(笑)それでも、起業する前の前職は、たしか10年間も続けられてましたよね?


小林:そう。当時は怖がりだったから、それだけ続けられたんやと思う。決められた人生のレール以外走ったことがなかったから、そこから脱線するのが怖くて。


中西:そこから起業しようと思えた「覚悟」はどこで見つかったんですか?


小林:サラリーマンをしている最中に「生存ルート」が見えたのが大きかった!


中西:生存ルート?


小林:好きなことを仕事にしても、生きていける方法が見つかったってこと。

退職する少し前から、休みの日を使って今の共同創業者の林とRaspberry Pi(ラズパイ)っていう「機械遊び」をしていて。別に起業とか、つくったものを売る計画も全然なく、ただ自分たちが作りたいものを作ってた。

たまたまそこで知り合いから案件をもらって、共同創業者の収入も増えていたことがあったから、あわよくば10年後くらいに独立して、退職金も合わせて家族を養えるくらいのお金を稼いで、ほのぼの過ごせればいいかなってくらいにしか考えてなかったんやけど。同じような活動をしてる知り合いがほしくて出てみたビジネスコンテストで、審査員から自分が思っていた10倍以上の価値をつけてもらって。ウソみたいな話やと思った。

それで「これで失敗しても絶対に後悔しない」って気持ちに無意識になってた。起業しよう!って思っていたわけではなくて、自分の活動を紹介して当たった、完全なラッキーパンチ(笑)


中西:そうだったんですね。僕もすごく共感できるのですが、そういうふうに何か自分の好きで始めたことが功を総じて、結果的にチャンスが巡ってくるということですよね。

それこそ「サラリーマン兼アーティスト」をしていたら「アーティスト」という好きなこと一本で食べていける機会が回ってきた、みたいな。いま独立しようと思うと、すぐに「全部捨てるくらいの覚悟を持て!」とか「一つのことだけに集中しろ!」とか、極端なことを言われますが、小林さんのように「そのタイミングがきたら、自然と覚悟を持てるようになる」方が理にかなっているような気がします。


小林:好きなことを仕事にする一つのルートとしては理にかなってるかもね。

「好きな道を選ぶ自由」が欲しいから独立を選択したとして、うまくいかないことを自分以外に責任転嫁するならやめといた方がいいんちゃうって思うし、 「結果の全責任を負う覚悟」がないからサラリーマンを選択したとして、好きな事を仕事にしていく方法がないわけじゃないと思う。

自分も元々は起業家とは真逆の人間で。「起業しよう!」「新規事業立ち上げよう!」って言ってるセミナーやノウハウ本見たら「そんなん絶対無理に決まってるやん」くらいに思ってた。あの頃は我ながら愚かだったかも…。

中西:なんとなくイメージつきます(笑)

小林:そうやってずっと否定し続けてた自分が「やろう」って思ってるのに気づいた時、無意識に「これで失敗しても絶対に後悔しない」て気持ちも持ってた。  
好きな事を仕事にしていきたい思いをもうハッキリと自覚してる人は、最初からアレコレ考えるよりも、まず自分がワクワクすることをやってみることが何よりも大事やと思う。

休みの日に自分みたいに友だちと遊び半分で何かし始めるだけなら「覚悟」とか「生きるか死ぬか」みたいな極端なこと考える必要ないし。

そこから、仕事に繋がることってけっこうあるんよ。活動の延長線上で、出会った人から影響受けたり、新しい情報を手に入れたりすることってめちゃくちゃ多いから。


中西:確かに、現状を否定し続けたら最後に「覚悟」が残るというのはあるかも。まずは自分の好きで、やれることから始めてみて、あれも違うこれも違う…って試行錯誤をしてみた結果、最終的に「本当に自分が好きなこと」が残るのかもしれないですね。


◼︎執筆者プロフィール
中西高大(なかにし・たかひろ)
1996年生まれ。大阪大学在学中に、従来の「多様性」を推進するあり方に疑問をもち活動を開始。2020年1月 セクシュアリティ分析サービス「anone,」をリリース。10万人のユーザーにサービスを提供している。現在は株式会社ミライジンラボにてサービス運営を行いながら、同社のPRやブランディング戦略にも携わっている。

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