PROJECT 2

「経済」と「障害」のバランスを成立させるために

ABOUT

障害者雇用の新しい働き方に向けた
政府横断型の実証実験

内閣官房を中心とした政府横断型の新技術実証制度(プロジェクト型サンドボックス)に採択され、障害者雇用に関わる実証実験を行うプロジェクトです。障害者雇用の分野では国内初の採択となります。障害レベルに適した柔軟な労働環境を提供することで、特定分野に秀でた障害者が、自らの潜在能力を引き出し、働くことへの意欲向上に繋げられるかを検証していきます。

※新技術等実証制度について・・・内閣官房HP

PROBLEM

解決する社会課題

一般企業の障害者雇用にかかる大きな負担

日本における障害者の数は、身体障害者(身体障害児を含む。以下同じ。)436万人、知的障害者(知的障害児を含む。以下同じ。)108万2千人、精神障害者419万3千人となっています。中でも精神障害者は、2011年から130万人以上増えるなど、他の二つよりも高い割合で増えていますが、雇用に繋がっているのは約8万人と、2%程度に留まっています。また、企業における障害者の雇用は法定雇用という形で義務付けられていますが、達成率が48%と半分もない状況となっています。 ​​​​​​​

こうした現状の背景には障害者雇用の負担が一般企業にとって大きすぎるという課題があるのです。障害者を雇用する場合、障害者や雇用制度に関する理解だけでなく、当人の能力に見合った業務を見つけ、継続的なサポートをするなど、健常者を採用する場合と比べて必要なプロセスがかなり多くなっています。にも関わらず、事業者にとって先端IT技術者不足は深刻な課題になっています。 

APPROACH

私たちの仮説

01

在籍出向により一緒に能力開発を行う

今回の実証実験は、障害者雇用の中で採用率が低く、離職率の高い精神障害者を対象としています。精神障害者には、高い集中力や能力を持っている人が含まれていますが、能力を社会で発揮できる方法は確立されていません。 本実証では、一般企業が障害者を雇用するプロセスの一部を在籍出向という形でミライジンが代行することで、企業は負担を軽減しつつ、雇用する障害者に業務を任せることができます。データ分析と障害者の能力開発という2つの専門性をもった私たちだからこそできるアプローチです。

02

新しい雇用制度をつくってしまう

わたしたちのようなIT×障害者雇用に突出した企業が、障害者を雇用し、そこに発注をした企業に何らかのメリットが与えられるような社会全体での制度作りや、インセンティブの創出を検討しています。一つの案として考えているのが、『みなし雇用制度』です。みなし雇用制度は、障害者が働く企業や支援団体に業務を発注した企業に対して、その発注額にしたがって発注元の企業の法定雇用率に算定するという制度で、日本では認められていませんが、フランスやドイツなどで導入されています。
近いものとしては、在宅等で働く障害者に仕事を発注する企業に助成金を支給する在宅就業障害者支援制度がありますが、金額が少なかったり、法定雇用率には算定されなかったりする点で、活用が難しい制度になっています。 みなし雇用制度が導入されることで、障害者は自宅や障害特性を理解してくれる支援団体など、本人が働きやすい場所を選びながら収入得られる機会が増えます。発注する企業側にとっても、負担感を少なく、障害者の雇用機会増加に間接的に関わる機会が増えるのです。

Comments

プロジェクトに参加する人の声

藤原由来さん

経済的に自立するためにプロジェクトへの参加を決意しました。私は大学時代にうつ病を発症して以来、安定した職に就けず実家の両親の稼ぎに依存し続けてきました。しかし今では両親も定年を迎える頃で、私も30歳を過ぎ「このままではいけない」と危機感を募らせています。私はプログラミングやIT系のスキルには自信がありますが、進捗管理や感情のコントロール、ソーシャルスキルに難があります。既存の就労支援にも馴染めず悩んでいたところに、本プロジェクトに参加できる機会が得られました。 当面の目標は、まず安定して仕事を続けられることです。そして通勤や先方の現場でも働けるようになったら、家族を持って養えるようになりたいです。

MESSAGE

運営メンバーからあなたへ

この国にもっと多様な働き方を

岡崎拓也

DIRECTOR

私はこれまで会社員として働いていましたが、いまはこのプロジェクトをはじめNPOや事業会社など、複数の会社で働くという比較的自由な立場に変わりました。その中で、日本における会社員の利点を知るとともに、もっと「働くことの選択肢は増えるべきなのではないか」と考えるようになったのです。 このプロジェクトで、障害のある方の働く幅を広げていくことが、いまを生きるすべての人たちに「働くとはなにか」という広い視点での問いを投げかけることにも繋がると確信しています。理想論ではなく、だれもが働きながら自分の可能性を発揮できる、そんな社会を一緒に目指していきましょう。